魔法が使えなくても

2022年5月末 ここから動けなかも でもずっとここに居る意味は無いし 帰らなきゃ行けないけど 動く元気がもうないよと思って どうすればいいんだと思って宿にしていた快活CLUBから友達たちに電話をした 大変だねと言ってくれる友達 またねと切って もう1人の友達に電話して 頑張って帰ってきてと 諸々お話しててまたねと切って そしたら段々頭動いてきて、もう1人の友達と話している間に、自分の住まいに戻るために始発で帰ってその友達とモーニングを食べる約束をしたら帰れるのではって思ってその提案をしたら、快く引き受けてくれた。電車が動き出す5時には窓のない牢獄から出て、乗り物に揺られて自分の住まいの最寄り駅に着いた頃にはもう元気が無くて 友達にそのことを言ったら、こういうことになるかもと思ってたから大丈夫だよと言ってくれた ほんとに 迷惑をかけて みんな大事にしたいと本当に思った

当時電話をした友達の中で、ただ事じゃないと思った友達がその友達の担当教授と合わせてくれた。初めて合う先生。お話は伺っていた。友達が慕ってた先生だった。友達と一緒に先生のいる研究室に向かった。研究室の目の前に着いたら、換気するためのドア止めとして入口に本が挟まっていた。その本は、高校3年生の時に友達が教えてくれた大好きな漫画で、でも一度売りに出してしまってその時丁度読みたくてゆく先々の本屋で探していたものだった。

高3の時、やっと友達と4人で昼ごはんを食べられる様になって、その時の友達のひとりと1週間に1,2回くらい、昼ごはんを早めに切り上げて一緒に図書室に通っていた。それから受験シーズン 授業時間が短くなってからは、その子と一緒に高校の近くを散歩したりして、私は初めてanimateに入った。初めてanimateで漫画を買った。フィルムのブックカバーの付け方をそのデパートの地下の休憩所で教えて貰って一緒に付けた。その本。紀伊カンナの魔法が使えなくても。

大学に入ってからすぐ、短い間仲の良かった先輩と本の貸し借りをしていた。そのまま疎遠になった。もう会わないのだろうなと思って借りていたままの本をどこかにやってしまった。そのまま歳月が経ち 突然私の卒制を見に、しばらく連絡を取っていなかった友達とその先輩が来てくれて、私が貸したままにしていた本を すべて 律儀に手提げの紙袋に入れて返してくれた もう会わないかと思っていたからなくしていたのに先輩は3年間ずっと本を残していた。好きな小説だったから、貸してからもう1冊新しいのを買ったから自分の手元には同じものがあった だから なんとなく これいい本だしパッと読めるから読んでみてっていって先輩が持ってきてくれた本をそのままその場にいた友達に貸した 

その後その3人で一緒にご飯を食べて、友達の車で先輩を駅まで送って、その帰りに私を家まで送ってくれている道中、友達に「正直くらったっしょ」って言われて、頷いたけどたしかにくらった。でもその後考えてみたけど友達はどういう意味でそれを言ったのか分からないし 私も何にくらったって言語化できない

魔法が使えなくても なんだ って意味は分からないけど、その本の、何事も白黒ついてないけどみんなそれぞれを頑張っているということははっきりしているようなストーリー  大学の一人暮らしのアパートからから退去する時に色んなものを捨てた。上京してからそこを退去する時にもいろんなものを捨てた。最早残しているものがなんなのか分かってないけど、上京する時に実家に残しておきたいものをダンボール一箱の中に残していて、その中に入っていたその漫画を読み返した。最後のコマでこの世は綺麗なネズミ色なんだよってネコ抱えながら言ってた。そういう感覚を思い出した1月中旬の曇った午前です。